
一 般 的 定 義
近年、注目度が増している農福連
携ですが、実は統一的な定義は未
だなされていません。あえてして
いないといった方が正確な一場も
あることでしょう。
一般社団法人ノーマポートの場合、
障害者が農作業をしていますか?
という問いにYESであれば、農福
連携であると定義しています。
また、農福連携はカバレージにす
べきという風潮があり、農福連携
か否か白黒をつけるというよりは、
ゆるい定義の中で多くの方々が関
われる機会としてとらえられる傾
向があるのです。弊社も同様に考
えており、上の問いを満たすので
あれば、より多様な方々が農福連
携に参入してくださるよう事業を
しています。
ちなみにノウフクというカタカナ
のロゴが有名ですが、こちらも農
と福という固定概念にとらわれな
いように意匠されたものになりま
す。
福祉側からの期待は農業ガ福祉ス
ルこと、つまり農業によって障害
者によい影響を与えるといった側
面に比重が置かれます。一方、農
業側からの期待は福祉ガ農業スル
こと、つまり障害者のお力を借り
て人手不足を解消するといった側
面に光があてられる傾向にありま
す。
アジールとしての農福連携
弊社は農福連携にアジールとして
のロールを少し添えたいと考えて
います。
アジールとは避難所のことです。
現代風に言えば、生きずらさを抱
えて歩まれる方々が一度、世間的
に無縁となって農業をするモデル
にもなりうると視ているのです。
フラジャイルな方々の農業参入が
当たり前の時代になったら、農福
連携や障害者雇用といった言葉も
よい意味でなくなるのかもしれま
せんね。弊社はそのような未来を
実現したく考えています。
ポスト資本主義
さて、弊社はこのような農福連携
にそれ以上の可能性を視ています。
ご存じのようにSDGsをはじめとし
た地球全体の持続可能性が危惧さ
れる時代になり、資本主義過多に
よる弊害が露骨になってまいりま
した。
安易な西欧化をする以前、そもそ
も日本の暮らしはSDGs的でした。
もちろん経済活動はあったものの、
大量生産ならびに大量消費とは対
照的なあり方で、
里
都 山
上のように、都と里と山といった
みっつの場が循環することで経済
がまわっていたのです。
都の帝から里の長者へと利権が与
えられ、ここが現代では妙に映る
かもしれないですが、その長者は
山の呪法者に米を渡していたので
す。そして、その呪法者が都に祈
りを奉げていました。
お金(米)の支払いが穢れの祓い
だったことがわかりますか。つま
り、
払い=祓い
だったということです。このふた
つのハライが意外と資本主義過多
で滅びようとしている人類に有効
なのではないかと考えています。
弊社としましては日本の里山が再
生していくような営みのきっかけ
にまで農福連携をもっていけるよ
う精進してまいります。
代表理事 高草雄士
【推薦図書】
『無縁・公界・樂』網野善彦
江戸時代の無縁寺には、例えば
亭主から逃げてきた女房が駆け込
んできました。その時代は嫁から
離婚をするというのが認められて
いなかったので、無縁寺に駆け込
んできたのですね。たとえ亭主に
追いかけられても、櫛のような嫁
が身につけているものを寺に投げ
こめばセーフというルールがあっ
たくらいです(笑)。そのような
社会的な生きずらさをかかえた方
々のアジールとなった結果、無縁
がゆえの信頼をされ、お金を預け
られるという現象も起こりはじめ
ました。アジールを深めたい方に
は必読の一冊です。
#ノウフク
#農福連携
#アジール
#農福連携の定義