メ ル マ ガ

   

2026年9月1日|創刊号

髙草雄士の晴耕雨読

晴れの日は農福の編集、雨の日は古典の一服

このニュースレターは、AIとほどよく共生しながら、あなたを晴耕雨読暮らしへとお誘いするために書いていきます。

こんにちは、髙草雄士です。

晴れの日は農福連携で土を耕し、雨の日は読書普及で人を耕し、晴耕雨読暮らしをしています。

晴耕雨読というと、どこか隠居くさいイメージを抱かれるかもしれません。しかし、これからの時代は、

AIという巨大な波にあえて乗り過ぎないこと

が大切です。なぜなら、AIの進化が速過ぎるからです。

一、AIという巨大な波に乗るべきですか。

まずは2026年のニュースの抜粋から入りましょう。

・開発者自ら「速度を落としてくれ」と米国政府に訴える。
AI May Be Progressing Too Fast, Anthropic Suggests (Technology Org)

・米国人の7割以上が「AIは速く進みすぎている」と考えている。
AI was supposed to win people over by now — it hasn’t (TechCrunch)

いずれも米国の記事ですが、もはや開発者自身がAIの進化速度に不安を覚え、政府に協力を要請するという前代未聞の事態に陥っているのです。

一例を挙げると、Claude Codeで有名なAnthropic社は、

When AI builds itself (AIが自らを作るとき)

と題した文書を公表し、人間が制御を失う前にフロンティアAI開発を減速、あるいは停止する必要があるかもしれないと論じています。

つまりは、既にAIがAIを複利的に生成していく時代が始まっているのです。

では、このような流れを受けて、AIの進化が止まるかというと、それは難しいと思いませんか。

ちなみに先ほどは米国のAI事情から入りましたが、AI関連の人材が世界で最も多いのは、中国です。その中国では、Kimiをはじめ、安価でかつ米国と同機能のAIが台頭しており、人材も消費者もそちらに流れています。

仮に米国でAIの成長速度が止まったとしても、すでに世界ではAIが進化をし続ける図式ができあがっているのです。

つまりは、前代未聞の時代の波が、これからしばらく絶えず押し寄せてくるということになります。

さて、この巨大な波に、あなたは乗りますか。

それとも、あえて降りますか。

私は後者のような方と、これからは連携をしていきたいと考えています。

二、ちいさな晴耕雨読をはじめておきませんか。

AIという巨大な波に、あえて乗らない。

この選択肢は私にとって大変魅力的に響くと同時に、一抹の不安も抱かせます。自分だけが大きく取り残されてしまうのではないか、という不安です。

先日、

「AIに奪われたい仕事」

という広告を駅で見かけました。

なんとも上手なコピーだなと感じました。

あなたの仕事は、

・AIに奪われたい仕事
・AIに奪われたくない仕事

とに分けられるのです。

私個人の「AIに奪われたくない仕事」は、晴耕雨読になります。

なぜなら、自分で食べるものは、基本的に自分で育てたいからです。

雨読に関しても、やはり自分で本を読み、心を育んでいきたい。

だから、もちろんこのニュースレターも、私自身が書いています。

さて、創刊号からしばらくは、「ちいさな晴耕雨読」のすすめをまずしていきます。

その入り口には、ノウフクが最適です。

ノウフクとは農福連携の略称で、障害のある方等が農業の分野で活躍する取組をいいます。全国に一万近くの参画者がいて、日々、すべての人にやさしい農業が展開されています。

ノウフクプロジェクト

つまりは、ちいさな農業をはじめられる土壌が、ノウフクには既にあると考えることもできるのです。しかし、

「農業をはじめる畑や庭なんてない」

こう思われる方も少なくないでしょう。

でも、大切なのは、「ちいさな晴耕雨読」をまず今ここで始めてみることです。

庭が雑草で覆われてしまって、農業なんて始められないと感じている方。

運動がてら、少し草を刈ってみませんか。

根から引っこ抜くと大変ですから、雑草の根を残して、カマやハサミで切ってみましょう。刈った草はそのまま庭に敷いておいて結構です。

むしろ、捨てずに敷いておいたほうがよいのです。

2023年、「僕らはひたすら草を土に置く」という記事で、私は文藝春秋SDGsエッセイ大賞のグランプリを受賞させていただきました。

記事に書いたように、草はひたすら土に置いてあげたほうが、基本的にはよいのです。むろん、草を土に置く営みも農業です。土がやわらかくなっていくのですから、立派な土壌改良でしょう。

ちなみに自然界では、風が草を刈ることがあります。風で草がしなり、その勢いで自然に草は刈られていくのです。だから、風の方向に沿って刈ると、より生態系が保たれたりします。

また、私の家内はバルコニーでかなりの野菜を育てています。いわばプランター畑ですね。葉ネギやニンニク、ニンジン、コマツナ、シソ、コカブといったあたりを一歳児の息子とバルコニーで収穫し、とれたての野菜を朝の食卓に出しているわけです。

こちらも、ちいさな農業ではありませんか。

このようなちいさな営みが、不用意に時代の波に吞まれないための第一歩となります。

クラウドにうつつを抜かしていないで、地に足をつけた暮らしも少しずつしていきましょう。

文字通り、地球が喜ぶ生き方です。

三、雨の日の一冊

『ニンジンより大切なもの』
ボリス・フォン・スメルチェック著(主婦の友社)

この便りでは古書も含め、毎号一冊ずつ、雨読の本を紹介してまいります。創刊号は『ニンジンより大切なもの』を選びました。ドイツのベストセラー本です。

主人公はウサギ。

ですから、ニンジンはお金の暗喩です。

したがって、

あなたのお金よりも大切なものは何ですか。

と、この本は問いを投げかけているのです。

ニンジンをお金にしてしまうと、なんとも陳腐に映ってしまいますが、これからAIの台頭とともに、おそらく情報の価値とお金の価値が下がってきます。

ノウフクは、金融価値ではなく、社会的価値を高める取組として普及してきました。つまりは、ニンジンよりも社会的価値のほうが大切だと考えたわけですね。

では、もう一度尋ねます。

あなたにとって、ニンジンよりも大切なものは何ですか。

編集後記

創刊号は、2026年9月1日付で発刊いたしました。個人的な話ですが、この日は父の七回忌でもありました。

晴耕雨読の暮らしへ、少しずつ舵を切りたい方の伴走となれれば幸いです。ともに人生を歩める方と、たった一通のお便りから連携できたらと、感じております。

今後の配信は、第1・第3火曜の朝、月2回。晴れの日の農福、雨の日の一冊、そしてAIという空模様。そのすべてを、毎号どなたにも無料でお届けします。転送も回覧も、歓迎です。畑と本を囲む集いなどの催しは、その都度、この便りの中で案内してまいります。

髙草雄士

所属

農福連携特例子会社連絡会 代表
一般社団法人ノーマポート 代表理事
NPO法人読書普及協会 理事長
日本プロテニス協会 公認コーチ
表千家

著書

『ノウフク大全』(創森社)
『障がい者はノウフクでもっと輝ける!』(弘文堂)

※書店復興プロジェクトに賛同しておりますので、ウェブではなく、書店で拙著をもとめていただけると幸甚です。

※本レターの内容は髙草雄士個人の見解であり、所属する組織・団体の公式見解ではありません。

この便りは、転送歓迎です。
今後も受け取られたい方は、こちらからご登録ください(無料)。