知的障害者に農業は向いている。
農福連携ではよくこんな言葉を耳にし
ます。
たしかに知的障害をお持ちの方がひと
つの単純作業を長時間されて、結果を
だされている事例は少なくありません。
しかし、精神障害や身体障害をお持ち
の方でも同様に長時間、単一の作業を
されて、必要不可欠な人材に成長され
ている現場も珍しくないのです。
あくまで個人々々の障害特性を農地で
ゆっくりと見極めて、判断する機会が
重要ではないでしょうか。そして、そ
の障害特性が発揮しやすいような環境
をつくろうとする周囲の理解と工夫が
大切になってきます。
農福連携は作業細分化にはじまり、い
かに誰にとっても分かりやすく物事を
分類していくかが肝ですが、あまり大
雑把な分類だけに執着するのは避けた
方がよいでしょう。
農福連携にありがちな失敗は、
1、障害者をとりあえず現場にだす
2、農作業を一定期間していただく
3、障害特性と農業の相性を判断する
といった順序になります。知的障害者
だから、まずは単純作業のある現場に
だしてしまおうという発想です。いか
にも金融資本主義的です。
レシピの基本は素材と手順でした。
私の経験上、障害特性と農業の相性を
判断する手順として、
1、農作業体験をしていただく
2、障害特性と農業の相性を判断する
3、農作業実習として現場に参加する
といった手順の方が、本人の自信と周
囲からの信頼を得られ、結果、現場の
笑顔が多い印象を受けています。
要は、現場にだすのを焦ってしまう傾
向にあるのです。しかし、いくら一期
はあっという間だといっても、即席の
人材育成ほど愚かなことはありません。
人生は等しくゆっくりな方がよいので
す。自然の一切も黙々とゆるやかに時
を刻んでいきますよね。
まず農福体験をお互いにするといった
実習期間を持つようにしませんか。
そして一緒に土に触れてみてください。
できれば、スマートでない昔ながらの
農業がよいでしょう。農福連携で求め
られる人材も、スマート農業化ができ
ない場面で活躍できる方が求められる
傾向にあるからです。
最近は機械を用いずに畝立てや播種を
行われることが当たり前になってきま
したが、障害という枠をとり払って、
皆で鍬やシャベルで畝立てしていくの
も楽しいですよ。
人生一度は一から鍬で土を耕す経験を
すべきなのです。このような経験をさ
れて初めて、地に足がつくものなのか
もしれませんね。
ではまた。
▶推薦図書
『低空飛行』 原研哉著
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