相手の目を見て話しなさい。
戦後教育の弊害は多々ありますけれど、
この目を合わせる強要ほど、西欧化が
激しい教えは珍しいです。しかも教員
がその弊害をほとんど理解していませ
ん。
古来、日本人は目の生々しさを厭がっ
てきた民族でした。したがって茶道で
もそうですが、面と面をあわせて座る
ということは基本的に避けられてきた
のです。オンラインで顔を見ての面接
をする今とは対照的ですね。
一般社団法人ノーマポートではよく利
き目の話をしておりますけれども、あ
れを極めたところで、西欧的な成長が
できるに過ぎません。もっと端的に申
しあげれば、野生では目と目があった
瞬間に、捕食者と餌の関係が決まりま
すので、無意識に目を合わせて相手よ
りも優位に立ってやろうとする勝ち組
志向の人間が育つだけです。
本来の人としてのつきあいは、争いで
はなく、互いに「なじむ」ことにあり
ます。
握手は西欧的ですが、なじみますよね。
ずっと握手をして手をふってごらんな
さい。そのうち相手の腕が自分の腕の
ように、自分の腕が相手の腕のように
感じてきます。これが日本人が大事に
してきた「なじみ」です。
花となじむなら、花もわが身もともに
はかなしという境地が味わえますし、
野菜となじむなら、やはり日頃の農業
に対する姿勢に慈しみがでてきます。
もちろん、目と目をあわせずに握手を
なされた方が、人は互いになじんでい
くものなのですよ。
目をあわせるのが苦手な方々の目を見
て、目の合わせを無言で強要する野暮
さがわかりましたか。
人はなじんでいるほど静かなのです。
ではまた。