昔、九十九里浜の漁師のあいだで三毛猫
のオスが高価でとりひきされたことがあ
るのをご存じですか。
実はオスの三毛猫は台風を察知できると
いう言い伝えがこの地域にあったからで
す。実際、台風が発生する日はいくら三
毛猫を船に乗せようとしても、逃げたそ
うです。
来たる気候や天気を感じているのは、何
も動物だけではありません。植物も激し
い雨が予想される夏は例年よりも遅く成
長し、植物自体が意図的に豪雨を避けた
とおもわれる事例も珍しくありません。
もちろん、偶然かもしれませんが(笑)。
さて、自前型の農福連携において地域の
気候や天気に関して仮説を立てることが
非常に重要です。気候変動が激しい昨今
ですが、それでも現場の土のうえに立ち、
天気を予測する習慣をつけましょう。
例えば、稲作をされている雪国では、文
字通り、雪を見ながら作付計画をされる
方が多いです。基本的に雪が多い年は豊
作と昔から言われているからです。雪ど
け水がいかに稲にとって大事かを感じな
がら、その年の天気をやはり予測します。
また、空の代わりにアシナガバチの巣を
眺めるといったやり方もあります。アシ
ナガバチが高い位置に巣を作っている年
は台風が少なく高温干ばつ。逆に、低く
巣を作っている年は台風や大雨が多い傾
向にあります。
身近な自然現象からその年の傾向を予測
し、仮説を立てながらの作付計画をして
くださいね。このような方法を
アブダクション
といいます。自前型に限らず、農福連携
はその土地でうまくいったとされるデー
タを集め、そこから仮説を立てる姿勢が
必須です。
よく優良事例を帰納的に集めて満足され
る場面を拝見致しますけれども、そこま
でされたのでしたら、仮説を立ててアブ
ダクションまでしましょう。
農作業をしながら、天気をはじめとした
仮説を立てることで、旧暦がいかに農業
と関りが深かったかも感じていただける
のではないでしょうか。
聖(ひじり)の語源は「日知り」という
説もあるくらいです。聖になるための唯
一の方法がアブダクションということで
すね。
ぜひ先人たちの知恵を味わってください。
ではまた。
▶推薦図書
『パース著作集』
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