ー 記事の対象 ー
援農型ノウフクをご検討中の方
農園型障害者雇用をご検討中の方
「派遣」という言葉のリスク
援農型の農福連携の場合、「派遣」という言葉は注意して用いる必要があります。知らず知らずのうちに偽装請負と判断されることがありますので、学んでいきましょう。
【参考】
労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準
ひなりモデルもそうでしたが、援農型の農福連携において作業請負契約が結ばれることは少なくありません。では、この作業請負とは何かというと、
・雇用契約+指揮命令
を請負会社が担っていることを意味します。つまり、障害者と雇用契約している請負会社の社員が援農先の現場でも障害者に対して、指揮命令をしていかなければならないということです。援農先の農家が直接、障害者に農作業指示を与えることは疑似請負になってしまうのです。
契約による明確化
ここでも農福連携技術支援者(農業版ジョブコーチ)の大切さがわかりますね。
すでに援農先の農家と障害者の信頼関係ができている場合、かえって上のような違法行為になりやすいので注意なさってください。つい農家が障害者に直接指示を与えがちですし、支援者もそれを黙認してしまう可能性があります。あくまでも農家は支援者に農作業指示を与え、支援者がそれを作業細分化・難易度評価・作業割当てを経て、障害者に仕事を伝えていくようにしていきましょう。
たとえ農家が技術支援者の資格をとった場合でも同様で、農家側の技術や合理的配慮が足りていないという意味ではなく、あくまでも契約上、障害者がどこと雇用契約を交わしており、どこの指揮系統下にあるかというお話です。
農園型障害者雇用
農福連携特例子会社連絡会(ノウトク)代表の高草は農園型障害者雇用問題研究会に有識者として参加しています(2023年度時点)。いわゆる農園型障害者雇用とは企業における効率的な障害者雇用率の達成のみを目的としたビジネスモデルの側面があり、中には本来の障害者雇用からかなり逸れてしまったように見受けられる事例も散見できます。
このような現状に対し、厚生労働省は下記のように障害者雇用対策基本方針を改正致しました(画像は厚生労働省HPより引用)。
このような流れの中で、より障害者雇用の「質」が重視される傾向に今後ともなっていきそうです。一時期、農園型障害者雇用モデルの普及が激しく、
農福連携=農園型障害者雇用
というイメージが先行した側面もございますが、このモデルも一般社団法人ノーマポートは疑似的なものに陥りやすいと捉えております。どのような大義があって、農福連携をなさるのか、初心を忘れないでくださいましたら幸いです。
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