ー 記事の対象 ー
スタートアップのチェック項目が知りたい企業ご担当者
企業が知るべき福祉の基礎知識5選
☑ロクイチ報告
☑障害者雇用率制度
☑合理的配慮の提供
☑農福連携技術支援者
☑農園型障害者雇用のリスク
従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める障害者の割合を「法定雇用率」以上にする義務があり、毎年6月1日に報告をしなければなりません(通称ロクイチ報告)。障害者の定義は「障害者手帳を持っている方」です。また障害者雇用をする際、障害者が活躍できるよう職場適応援助者(ジョブコーチ)と連携して、合理的配慮をしていくことが一般的になります。農福連携の場合は、
- 農福連携技術支援者
- 農業版ジョブコーチ
- 農福連携サポーター
と呼ばれたりします。農福連携技術支援者になるためには、農水省や都道府県が主催する農福連携技術支援者育成研修を受ける必要があります。農福連携サポーターと農福連携コーディネーターは異なりますので注意してください。
▶参考記事:農福連携技術支援者研修卒業生の感想
また、農園型障害者雇用は障害者雇用代行ビジネスとも呼ばれています。文字通り、障害者雇用を代行業者に丸投げして、数字だけの障害者雇用率の達成がなされる場合もあるので、社会的問題と非難されるケースもあるようです。安易にこの農園型モデルで障害者雇用をされてしまうと、本来の目的と異なる結果になるリスクもありますから、ご注意ください。
企業が知るべき農業の基礎知識5選
☑農地の取得・賃貸借契約
☑労働安全の確保
☑販路の拡大
☑有機野菜
☑作業請負契約
農業をはじめる前に、農地法をはじめとした農業を取り組む上での法規や制度の理解が必要な場合があります。特に農地の取得や賃貸借は相続とも重なり、問題の種になるケースが少なくありませんので、契約書は必ず作成しましょう。また、農業は土木業よりも事故が多いことで有名です。圃場での安全管理が確保される環境を整備してください。休憩所やトイレの確保もあらかじめしておきたいところです。また「ノウフクのはじめ方」にも書きましたが、販路の拡大といった出口戦略も当初からしておく必要があります。
▶参考記事:ノウフクのはじめ方ロードマップ
障害者とともに農作業ができる時間というのも、とてもかけがいのないものです。働ける時期が一般的に限られている方も少なくありません。一期一会の日々が重なり、ノウフクの持続可能性というのはゆっくりと編まれてまいります。そのような繊細かつ貴重な営みだからこそ、安全管理やアセスメントはもちろんのこと、出口戦略に基づいた収益性にもどうか配慮をなさってください。せっかく収穫した野菜を売ることができず、関連会社に配るといった姿勢だけでは事業にならず、障害者の成長機会も失われてしまいます。
本来のSDGsとは?
昨今、SDGsに代表されるように持続可能性に注目があつまるようになりました。しかし、ここで少し考えていただきたいのは、
そもそものSDGsとは何か?
ということにつきます。我が国は永いこと鎖国をしてきましたが、逆に云えば海外に頼ることなく自立した衣食住を循環させていたことを意味します。ところが、先進国において自給率の低さが目立つのは、イギリスのそれが改善された今、日本だけです。すっかり高次産業化されてしまって、SDGsも観念や言葉がひとり歩きしているように見受けられます。農福連携を機会に「自分で作ったものを自分で食べる」といった持続可能性の原点、つまり第一次産業に還ることの重要性も体験いただければと感じています。「自分で作ったものを自分で食べる」という体験は障害の有無に限らず、今後の時代において大変重要な項目になってきます。
▶推薦図書