ー 記事の対象 ー
援農型ノウフクを検討中の企業ご担当者
ひなりモデルとは?
企業参入型の農福連携が注目を浴びるきっかけになったひとつに、ひなりモデルという名が浜松から発信されたことが挙げられます。
実は一般社団法人ノーマポートの創設者である高草志郎が株式会社ひなり時代(現在はCTCひなり株式会社)に代表をしていた時期に、ひなりモデルと呼ばれるようになりました。
今回はひなりモデルに関して、説明していきます。
この特徴としましては支援者役の社員1名と障害をお持ちの社員数名でユニット(チーム)を組み、地域の農家へ自動車で伺うといった点にあります。
注目を浴びている農福連携ですが、まだ農家の半数以上がその言葉すら知らないというデータもあります。したがって、最初に地域の農家さんが農福連携をどう感じるかが、援農型においては非常に重要です。
トライアル期間を設けるなどして、まずは相互理解が始められる機会を持つところから始めましょう。相互に歩み寄り、持続可能な農福連携にしていくことが大切です。
農福連携コーディネーター
ひなりモデルにおいても、最初に必要な人材は農福連携コーディネーターです。
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まず農福連携コーディネーター役の社員が援農型ノウフクが可能な場所を調査します。ノウフクという以上、その地域に農家がおいでになり、かつ障害をお持ちの社員が公共交通機関で通勤できる範囲の場所が候補地になります。
事務所から車で30分以内の距離に、どれほどの圃場があるのかも視野に入れましょう。車で30分以上かかる圃場ですと、往復で最低1時間は車に乗っていることになるので、勤務時間のロスも気になるところですよね。
マッチングよりも先にマッピングが肝要なのです。
事務所が決まりましたら、農福連携を理解してくださりそうな地域農家とつながっていく必要があります。人手不足に農家は悩んでいますけれども、農福連携に興味を持ってくださる方は大概は二代目等、息子の代の比較的若い農家じゃないでしょうか。
まずは除草や運搬作業等の簡単な仕事の切り出しをしていただき、トライアルとしてどのような可能性があるのかを相互に模索していってください。
作業請負契約
さて、まだまだ農福連携コーディネーターの仕事は続きます。
トライアル期間の仕事量から、相互が納得する対価の設定を行わなければなりません。基準としては、もしパートアルバイトの方がいらっしゃる現場でしたら、その方々の仕事量と比較して、人件費を設定するのもひとつの方法でしょう。
あるいは作業請負契約といって、人件費ではなく、仕事の生産量で契約をするパターンも有効です。何名のチームで圃場に伺おうが、予定していた仕事量が終わればそれでよいという視点になります。
作業効率性も視野に入れた人材育成をしていきたいですね。
モデルの継承
ところでモデルとついている以上、マネすることが可能です。マネの仕方は講演会等で話していますけれども、ひなりモデルはその後、パーソルダイバース株式会社のよこすか・みうら岬工房の農福連携にも写されていきます。浜松から横須賀への写しですね。
また高草志郎の急逝に伴い、事業を私が急に引き継ぐことになりましたが、ひなりモデルという型を残してくれていたからこそ、父の農福連携に対する姿勢がそこはかとなく復元できました。
もちろん細部は異なりますし、地域の特性や受け継いだ者の工夫も加わりますので、モデルは写されては、少しズレていくといった風に変わっていきます。地域から地域へ、親から子へ、何か言葉にならないものが進化を続けて、モデルのあとには脈々と道ができていくものなのかもしれませんね。
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さて、このモデルは物語が生まれやすい仕組みになっています。なぜなら、人の目は構造上、前後の距離感を把握しやすいようにできていますので、ココとアソコの区別に敏感だからです。
太古でしたら村(ココ)から山(アソコ)へと行き、再び村へともどってきた者が英雄でしたし、キリストもこの世からあの世へと十字架を背負って逝かれ、再びこの世へと復活されましたね。
ひなりモデルの農福連携も同様に日々、障害者がこちらの事務所からあちらの圃場へと働きにいき、またこちらの事務所にもどっておいでです。上のモデルと似ているのがわかりますか?
農福連携をブランディングする上でひとつのヒントとされてください。
モデルを踏襲し、ズラしていく。
企業参入型農福連携も大きく移ろっていきそうですね。
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