ー 記事の対象 ー
自前型ノウフクへの参入を考えている事業者
福祉ガ農業ヲスル
農福連携という言葉は十数年前から市民権を得てきましたけれども、障害者のお力をお借りして農業を促進させていくといった取り組みは昭和の時代から確認されています。
福祉ガ農業ヲスル
といった意匠になるでしょうか。実際は少なくても江戸時代には農福連携の原型なるものが行われてきたと一般社団法人ノーマポートでは推測しています。「農福連携」はもちろん「福祉」や「障害者」といった言葉などがなかった時代になりますね。
「農福連携」という言葉ができる遥か以前からノウフクは行われてきたわけです。
おそらく農家が肌感覚で作業細分化や難易度評価、作業割当て等を無意識に行っていたのでしょう。このような技術は農福連携技術支援者育成研修へと結晶化されたかのように見受けられます。
農業ガ福祉ヲスル
一方、飢餓への不安を農業で埋めようとしたのは弥生時代からだと言われています。これにより農作業を中心とした集落や市場ができてきたわけです。狩猟を中心にしていた時代から比べれば、未来においても食べ物が約束された安心できる風景にも映ったかもしれません。バイオフィリア仮説にも繋がるのではないでしょうか。
農業ガ福祉ヲスル
原風景はこのあたりにありそうです。
世界に目を向ければ、農業革命はメソポタミア・イラン高原・レバノンの三角地帯で起こり、
・紀元前6000年:レヴァント地方
・紀元前5000年:エジプト・ヴァルカン
・紀元前4000年:イタリア・フランス
・紀元前3500年:インド・極東・アメリカ
へと伝播してまいりました。それと同時に、小麦を貝殻でできた衣装や琥珀、黒曜石といったものと物々交換する営みも発展し、市場の原型ができたと言われています。自然界に働きかけて直接に富を取得する第一次産業だけでなく、それらを加工する第二次産業も発展してきました。
農福連携でも六次産業化が注目されていますが、アフターコロナになってもなお過度な消費社会から降りられないでいる私たちを考えてみると、農福連携を六次産業化に合わせるのではなく、金融資本主義の泥沼で蠢いている人類を原点に戻すきっかけとして農福連携を視るべきなのかもしれません。
一次産業化への機会
自前型の農福連携は援農型のそれと比べて、農業ガ福祉ヲスルことに注力しやすい傾向にあります。園芸療法や認知療法的な視点を入れながら農作業をしていくことで障害者の成長機会や自己実現にも繋がるからです。
自前型を検討されている方はまず出口戦略から考えてください。
農福連携だからという理由だけで野菜が売れることは滅多にありません。地域でどのような農作物が求められているのか。同じ野菜であっても、高級ホテルが求める野菜と学校給食で求められる野菜とでは異なるわけです。まずはどのような出口があるのかを調べ、できれば確保してから作付計画を行いましょう。
その後で、障害者の能力開発に繋がるような農作物を考えます。障害特性によってそれは異なりますけれども、その地域で途絶えそうな伝統野菜などを扱い、時間をかけながらも農福連携でゆっくりとその伝統を継いでいくのも佳いですね。
自前型の農福連携が安定してきましたら、ぜひその周辺の農家とも交流を深めて、援農型にも徐々にチャレンジしてみてください。
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